お不動様の守る町
成田メモリアルパーク周辺の旅

文 / つつみみき

不動明王のいる町で

成田にはありがたいお不動さまがおられる。成田山新勝寺。今回たずねるのは成田駅周辺、そして、成田にある霊園を2回にわけて紹介します。

 

空は快晴、風邪が凍りそうなほど冷たい。くるくると巻いたマフラーを口元を覆うように巻く。手袋の上からほう、と息を吹きかけると、凍りついた空気を、口元を、溶かしているような気持ちになった。

 成田の駅周辺は飲食店が立ち並び、成田についたひとびとを出迎える。

 飲食店が多い町は好きだ。見当の店がなくともなんだか憩いの時間があたえられている気持ちになる。きっとここに住む人々は駅についてから家路につくまでの楽しみが多いことだろう。

 ぶらりと町を歩くことにした。成田には昔ながらの喫茶店、立ち飲み屋もあればマクドナルドもある。パパッと食事を済ませることも、のんびり心行くまで愉しむこともここなら駅周辺でこと足りそうだ。

 repo02_img01  すこし足を延ばす。路地にはいるとおばあちゃんが店の外で台を広げて芋類などの野菜や切餅などを売る。実際の店舗は真後ろにあるのに店先に椅子を出して客がくるのを眠るようにゆっくりと待つ。とても寒いけれどお店の中で待ってるよりもずっと看板娘のおばあちゃんがよく見える。開運橋の手前のお店、これがこの店のスタイルなのだ。

開運橋越えればくねった一本道にエスニックや焼き肉、お蕎麦屋などが軒を連ねる。

通りにでれば成田山への参道までのにぎわう道につながる。そういえば成田はうなぎが有名だと聞いた。利根川と印旛沼に挟まれたこの土地では古くからうなぎが採れうなぎと発展を遂げてきたらしい。

 

参道までの道のりをゆっくりとあるく。土産物屋や酒蔵などの通りから一変して人で混み合う道の両脇に老舗と思われるうなぎ屋が軒を連ねる道にでる。中には店頭で数人の料理人たちが、うなぎを捌いて見せているという店があった。『川豊本店』と書かれたお店はたしか、成田のグルメを調べたときによく名前を目にした気がした。他のお店にもあるのかもしれないが、順番の時間の書かれた整理券を出すという、ずいぶん画期的な方法をとっていた。これなら待ち時間を目安に町を愉しむこともできる。

湯気の立つ酒屋の甘酒、竹かごを売る土産物屋、この街はにぎわいのある楽しい町だ。時間がゆっくりと流れる。古くからあるのだろうと思われる老舗の旅館も趣深い。きっと昔から城下町のようにありがたい不動尊のおられる新勝寺を囲って人々は町を築いてきたのだろうな。

 

 成田山は初めてだ。成田山新勝寺は真言宗智山派の大本山のひとつらしい。寺の宗派のことなど、わたしはよくわからないので調べてみた。今からもう1000年以上も昔、平将門の乱が起きた天慶2年(939年)のこと。この時代関東は平将門と朝廷との敵対で混乱していたとき、それを受けて京都の寛朝大僧正(かんちょうだいそうじょう)が不動明王を持ち運んだという。その不動明王というのはブッダの教えを学びこの国で広めた弘法大師が魂を込めて彫ったといわれる不動明王だ。

寛朝大僧正がお護摩を焚いて成田の地で祈願すると、祈祷して最後の21日目にして、平将門は敗北して関東の地に平和が訪れた。不動明王のお告げによってその後この地で成田山新勝寺が開山した。

その後、町は賑い、多くの著名人が信仰し、歌舞伎役者は帰依し、屋号を名乗ったほどのこともあって、新勝寺に行くと市川海老蔵、団十郎にゆかりのある文字を見ることができた。

大本山ということもあって新勝寺は広大な敷地に絢爛な佇まいで、多くの人々が参拝に訪れる。周辺も含め自然が美しく、古くからこの街や人々を守り続けたこのお寺にとてもチカラを感じた。わたしは、こういった古い建物の作りや、石碑に貼りつく苔に触れる時間を本当に愛しいとおもう。新しいもの、衛生を大切にする現代に清潔ながら古(いにしえ)の風格をとどめることは、バランスと至難の技だと思うからだ。だれか人の手が守らなければ、この美はうまれなかっただろう。

 

 寺をぐるりと歩いて参道へ戻る。お腹がすいて、うなぎを焼くにおいの誘いへ。そのまま行例の群れに溶け込む。例の川豊本店といううなぎ屋だ。

混み合う店内で、そのうなぎのやわらかい身とごはんに染みたタレを味わう。創業当時から継ぎ足したといわれるこの店の大味でない薄甘だれがうなぎのうまみを引き立たせる。

うなぎは、いいな。贅沢だ。

成田にお墓があったなら、きっとこんな風に観光も回りたくなるだろう。この街は、観光のほかに、成田には人の住まう住居がある。町がある。成田山周辺を囲う城下町のような場所だけでなく、すこし駅を離れるとそこに生活圏がある。「イオンモール」へ向かうバスが走る。車が通る。食事処もあり、そこは法事でも対応してくれる店がある。法事での食事を提供してくれるお店というのは、とても貴重だ。多くの親戚が集まれる場所、魚や仕出しを用意してくれるところというのは気付くとそうどこにでもあるわけではない。観光もありつつ、かつ、人の生活がきちんと息づいているのを感じる。

 

 ゆっくりと駅にもどる。

わたしは駅をでてすぐの喫茶店に立ち寄ることにした。昔ながらの雰囲気を持った喫茶店のなかはあたたかく、寒さで凍てついた外気を感じた窓が白く曇っていた。

 生クリームをたっぷりと入れたウィンナーコーヒーを飲んでホッとする。

 駅前から出ている無料の送迎バスに乗って「成田メモリアルパーク」という霊園をたずねることにした。バスの時間を待ちながら、珈琲をすこし時間をかけゆっくりと味わう。冷えた両手をカップの熱であたためる。チラと見ると、隣のお客さんも、向こうに座るお客さんも わたしのとは違うカップで運ばれる。不揃いだけれど、わたしはこういう喫茶店が好きだ。きっと次回同じものを頼んだらまた違うカップでたのしませてくれるに違いない。

いいカップだな。あたたかい時間が流れた気がした。

 

 

- – - –  参照 – - – - 

大本山 成田山( 大本山成田山新勝寺 )

千葉県成田市成田1番地  電話 0476-22-2111

「京成電鉄 京成成田駅」または「JR線 成田駅」より 徒歩10分

www.naritasan.or.jp

 

○    うなぎ

川豊

千葉県成田市仲町386 TEL 0476-22-2711

営業時間 10:00~17:00(L.O) 定休日 不定休(1,2,5,9月は無休)

駐車場 65台

http://www.unagi-kawatoyo.com/

 

○    成田 法事、仕出しができるお店

日本料理店 翁(おきな)

千葉県成田市美郷台3-1-14 TEL 0476-22-3388

営業時間 11:00~22:00 定休日 不定休 

駐車場 65台 

コース料理10名以上の予約につき無料バス送迎可能。(遠方の場合、15名以上)

運転代行あり。

【車での到着目安】

●成田空港     ⇒ 15分~20分

●成田山      ⇒ 10分

●メモリアルパーク ⇒ 10分

●成田駅西口    ⇒ 7~8分

●成田IC      ⇒ 15分

●成田ヒルトン   ⇒ 15分

http://okina-narita.jp/index.php?data=./data/cl7/

 

詳しくは、ご予約の際にお店にお問い合わせください。

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 次回は、「成田 ・ 緑と花にあふれる霊園」を紹介します。

 

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