思い出のある土地だから お墓を建てる・住む

文/ つつみみき

あたらしい年が明けて、仕事が始まって早くも二週が過ぎていました。
先日、学生の頃の友人たち4人と、何年ぶりかにあって遅めの新年会をひらいたとき、そのうち一人がなんの話の流れかこんなことを言っていました。
「俺の親父とお袋さ、一昨年亡くなったんだけれど、昔 鎌倉にしょっちゅうデート行ってて、歳とっても手つないで鎌倉行ってたんだよね。だから、俺、二人の墓を鎌倉に建ててたんだ。」

わたしたちは35~7歳のアラサー(アラフォーもいるけれど)、まわりで「マンションを買った」「車を買った」というひとはいても、なかなか「自分で墓を建てた」という話は聞いたことが無かったので想像に疎く、だれもが、こんな話をした友人を羨望のまなざしで見つめてしまいました。なかでも、ひとり未婚の私に至っては、歳老いて、皺々になった手をつないで、大好きな地をいつまでも仲良くデートしていたという想像にうっとりと頬杖をつき、しばらく感動にひたっていました。

友人の話をもうすこしすると、そのご両親のお墓を彼らの思い出の地に建てたばかりでなく、じぶんも残りの半生をそこで生きようとおもっているそうなのです。

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ご両親がふたり仲良く手をつないでたち寄った、お肉屋さんのコロッケ、おいしいお蕎麦屋さん、それから紫陽花のまばゆい長谷寺と、散歩道・・・それが、息子である友人がこれからまた新しい家族と継いで、また新しい思い出の一ページと変わっていくのでしょう。

 

きっと友人の「お墓参り」には、手を合わせた時に悲しさよりも、なにか昨日や今日のあたたかい報告や、「生んでくれてありがとう」という両親への感謝の言葉が聞こえてきそうです。

 

「お墓参りのこと」から
「お墓のこと」のことを、かんがえてみる

お墓を建てることを考えると、「お墓(=石材)を考えなきゃ」と考える方も多いのではないでしょうか。なかには、お墓の引っ越しを考えている方や、永代供養墓などを検討されている方もいらっしゃるかもしれないですね。いずれにしてもいまお悩みのことは、みなさん千差万別であり、当サイト、ハナミズキでの「お墓の基礎知識」や「専門家に無料相談」のコーナーなどでもそのことが、多数掲載されています。

ここでは、ゆっくりとお墓や霊園を検討されている方のために墓石でも、お寺でも、霊園のことからでもなく、「お墓参りのこと」からお墓のことを考えてみようとおもいます。

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「お墓参り」は故人との会話、語らいの時間だと考えます。
人によっては、年に数回お参りする方、逆に、忙しすぎてなかなかお参りできないという方もいるかもしれません。「お墓参り」ひとつとっても、そこには今生きる人々の生活、人の生き方、ふれあい方が関係してくると思います。

生前にお墓を建てる寿陵(じゅりょう)にしても、亡くなった方のお骨を埋葬するお墓にしても、建立後もずっとつきあっていくのです。そこに、守るひと、訪れる人たちの幸せが共にあれば、お墓を建てようとする人の心の負担も軽減されるかもしれません。たとえば、ちょっとしたことですが お墓参りを訪れたその帰り道に、ふと美味しいお店に立ち寄れたときに、落ち着いてまた故人のことやお墓と 寄り沿うゆとりが生まれるかもしれません。それは、ほんとうに人それぞれですが、どんな町にそのお墓があるかにもよっても、「お墓参り」でのひとときがいくらでも変化するといってもいいかもしれません。とはいえ、都心のお墓もなかなか便利で、おしゃれで美味しいお店も近くて素敵ですし、地方もまた、自然豊かで美しく落ち着いた雰囲気の場所もおおくお勧めです。いろんな名産にも出会えますね。

はじめに紹介した、わたしの友人の終の住処のはなしは、一見稀におもいますが、実は彼が大切に思っている「ひと」、両親へのおもいが、この「お墓」に出会えたポイントのような気がします。「墓地」を建てるひと、守るひと、たずねるひと、囲むひと・・すべてが「ひと」で支えられているから「人の想い」ということが、見逃せないポイントなのだとおもうのです。

これから紹介するのは、「お墓」を考える上で見つけたもの、考えたこと、また霊園へ向かう道で見つけたおいしいお店なども織り交ぜて紹介します。みなさんが「いろいろ霊園周辺を回って検討したいけれど、そのたびに出かけるのもちょっと・・」というような場所を代わってご案内します。大切な人のお墓まいりが、とても愛しい時間になりますように。

次回は、「お不動様の守る町 成田メモリアルパーク周辺の旅」を紹介します。

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