クリプタ行徳セントソフィア周辺の旅1

文:つつみ みき

千葉県は市川市にあるクリプタ行徳セントソフィアのある街を旅しました。

 

産業と暮らしがそばにある街

 

市川は千葉県の中でも非常に東京の近郊にあり、流通のいわばロジスティクスの拠点を構えているところも多い印象の街です。県外から大きな荷物を運ぶトラックが近郊の県道を通り行き来しており、首都高速があるため様々な会社がこの街に大きなセンターをかまえています。あの有名な楽天やアマゾンもこの市川に倉庫を構えています。まさに流通のメッカといえる地域です。

産業と暮らしがそばにある街

東京湾や一級河川がほど近いこともあるため、工場も多いです。明治の初めより埋め立てられた土地は歴史が長く、もともと塩田だったこの土地は歴史をたどるとここでよく漁業をおこなっていたといいます。行徳は海苔の養殖が盛んでした。しかし工場の汚水や都市化が進んだことにより漁港はなくなり、海苔の収穫もだいぶ減少することになりました。しかし、長い埋立地での環境を変えるべく、いまでも変わらず海苔の生産を続けているのは、行政や工場がその環境の取り組みに力を入れたことにありました。
市川市のホームページを見ると工場の緑化制度というものが定められています。
工場と周辺環境とがうまく調和していけるように、具体的には500㎡以上の工場は10㎡あたり高木1本か樹木10本以上を植樹しましょう、という制度が市によって原則とされています。またこの地域にある工場でも環境を当然のように配慮しています。そうして行政は工場だからといって環境を犯すものではなくとても必要不可欠な存在で、どうしたら周辺環境の理解を得ながら共存していくかということに力をいれているのです。

その結果、この街に野鳥が多く生息する場所を保護する取り組みをするべく、「野鳥の楽園」として環境や生命体を守っています。
行政や企業の心がけが功を奏してこの街にはたくさんの家族がマンションや家を構えて安定的に暮らしています。このクリプタ行徳セントソフィアのまわりにも公園に子どもたちの姿をたくさん見かけました。サッカーボールで遊ぶこどもたち、ランドセルを背負ったこどもたち、自転車の後ろに子供をのせたお母さんたちの姿にもたくさん出会いました。
それは産業と暮らしというものがそばにあってお互いが安心して暮らすからこそできた形なのでしょう。
また、このあたりはディズニーランドや葛西臨海公園、大きなショッピングモールがいくつもあり休日の娯楽を豊かにしていますし、東京の近郊ということもあり通勤にもアクセスが良く非常に便利です。この街は、人々の住みたい街になっているのです。

 

アイデアにあふれた防災公園

アイデアにあふれた防災公園

クリプタ行徳セントソフィアは大きな川沿いにあります。土手から見えるその光景は一級河川の旧江戸川です。太陽の光を浴びてきらきらと光る水面、その上に大きくのびる今井橋を見渡しながら、散歩やランニングをする人たちとすれ違いました。川土手の芝では大きく体を伸ばして、体操する人たちがいました。やわらかい芝では人を怖がらない鳩たちが体を埋めて休憩をしています。

 

旧江戸川土手

江戸に近いこの川の歴史に案内板に触れながら、この街や川沿いの気持ちよさにホッとしながら歩きました。
植え込みや川沿いに小さなピンク色の花を咲かせるナガミヒナゲシが、気づくと川沿いの壁沿いに、ポツンポツンと咲いているのが見えます。種子を多く持つと言われるこの花は、風に飛ばされたり、車のタイヤについてこの街へやってくるのだと聞いたことがあります。この街を歩いているとたくさんのナガミヒナゲシにその後何度も出会いました。このヒナゲシにも旅があってここにいるのだと思うと、その生命力の強さにえらいなぁと声をかけたくなります。わたしは、このピンク色のケシの花が好きです。

自生して咲く野の花もありましたが、地域の方たちが手をかけて育てている公園もありました。クリプタ行徳セントソフィアの隣にある「広尾防災公園」という公園です。防災公園の一角には花の広場があり、ボランティアの方たちが植えたパンジーが咲いていました。

パンジー

手入れされたパンジーは仲良く顔を並べて見ているわたしも心がほっこりとなるようでした。またこの公園にはたくさんの種類のバラの木が植えられています。モナコ王妃の故グレース・ケリーに捧げられたといわれるプリンセス ドゥ モナコ、秋にもたくさん花を咲かせるというチャイコフスキー、耐病性にすぐれているという銘花であるプリンセス ミチコなど。バラは種類にもよりますが5〜6月頃に咲く時期を迎えるというのであとすこしすればこの庭にはいろいろな色のバラが咲いて色づくのだろうなとおもってなんだかワクワクしてしまいました。手入れがとても大切な花が植わっていることはそれほどここの手入れをきちんとされているということです。お墓参りをしにくる楽しみもまた増えるみたいです。
近くには藤のつるを絡ませ、しだれた薄紫色の藤の花がすこし顔をだしていました。藤の花の花期は4〜5月、ちょうど今頃の時期です。春から夏のすこし強くなる太陽の日差しを藤の花が柔らかく遮ってくれるでしょう。この下で涼むこと楽しみもできますね。この時期にお墓参りに訪れるのももうひとつの楽しみとなるでしょう。

ここの防災公園は、市川市のホームページによると、もとは地区周辺に対して住民一人当たりの都市公園面積が少なく、避難場所の面積が不足しているために作られたそうです。「住民一人当たりの公園面積」という考え方は耳慣れない言葉ですが、国土交通省の都市公園法には、そういう取り決めがあるようです。街を歩いているとこういう発見があって、ほんとうにわたしたちの暮らしというのは知らずしらずの間に人の力や考えに支えられているのだなというのを痛感します。

防災公園

さて防災公園としての話をしましょう。平常時は地域住民の憩いの場として、そしてレクリエーションの場として活用されていますが、さまざまな防災のための施設が環境を考えたエコ施設であることも魅力的な公園です。
公園の管理棟の側にはおおきな備蓄倉庫、公園の時計は一見シンボリックなモニュメントに見えますが風力発電や太陽光発電を活用しています。この時計につけられた風力発電は少ない風でも動き、風車特有の不快音や振動がほとんどでないすぐれものです。
管理棟の屋上には太陽光パネルを用い、管理棟の電気や公園の時計の時間修正などの可動も助けているのだそうです。ほかにも雨水をタンクに貯めて、公園の水撒きにもつかっています。

広場にあるベンチは災害時に座部板である上の板を外すとかまどになるので炊き出し用に使うことができたり、イベントステージや休憩場所であるところがうまく災害時にテント利用することができるなど、工夫が盛りだくさんです。
こういったエコ施設でありながら、もうひとつ配慮があります。実は雨が降ると公園の敷地部分は水が溜まりやすくなっているので、それが周辺に一度に流れ出ると水害が起きる恐れがあります。そのため、公園の下に雨水貯蔵タンクを入れて溜まった水をすこしずつという工夫もしています。

こういった工夫と取り組みで、周辺に住む人々が家族で思い切り楽しむ場所となり、小さな子どもたちが広い芝生をおもいっきり走ったり、お年寄りの散歩や運動コースに使われています。サッカーや野球のできるネットを張ったグラウンド、休憩の広場、なんだかとても気持ちの良い公園です。

 

行徳は産業とともにある街であり、人々が生活する場所です。人々が住み良くしていこうと手がけている街であり、いまは誰もが住みたい街です。
霊園や墓地というのは一見すると、郊外の人の住まないようなところにつくる印象もありますが、この街はちがいます。だれもが住みたい街であるように、この街の人々が作り上げていました。この街を訪ねる度にきっと違う季節を知らせるお花を咲かせていたり、街も、人も動物たちももっと生活しやすい形に変えた顔をしているかもしれない。そんな素敵な変化もまた、お墓参りで手をあわせながら、知らせてあげるのも、なんだかいい時間ですね。

 

 

\今回出会った街キーワード/

クリプタ行徳セントソフィア

クリプタ行徳セントソフィア

千葉県市川市広尾2丁目5−1

従来の葬儀や代々継承していくお墓のカタチから解放された個人としての埋葬のスタイルを探している声に応えてくれます。光の差し込むきれいな明るくきれいな室内霊園で、宗教や慣習にとらわれない自分らしいお墓参りのスタイルを叶えます。

旧江戸川

旧江戸川

東京と千葉の間を流れる一級河川。
1900年初頭に放水路を開削してからそちらを本流としたため、旧江戸川の名称となった。
江戸時代には千葉県より江戸へ川を使って渡ったことを禁止しており、川を渡り駆け落ちを企てたイネと久三郎の二人の悲話も残る。

広尾防災公園

広尾防災公園

地域の防災と憩いがあふれた公園。エコにも配慮しており、風車や太陽光パネルから電力をまかなっている。公園内には一部鴨農法を利用した畑をつくり、動物と人間と自然の調和が非常にうまくいかされている。季節の花々もみどころ。

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