墓石に故人の好きだったことばを彫刻してもいいですか?
- 墓石に彫刻する文字やことばは基本的に自由です。お墓の多様化によりお墓に自由なことばを彫刻することも増えてきました。
ただし、墓地によってはお墓の正面に彫刻する文字が決められている場合があるので確認が必要です。また、周辺の方が違和感を持たない文字にすることも大切です。
お墓の彫刻文字
墓石には色々な文字が刻まれています。和型石碑の場合は「正面文字」「建立者名」「埋葬者名」「家紋」の4つを刻むのが一般的です。墓石に彫り込む正面文字は墓碑の顔ともいえ、この彫刻により墓石の印象が決まりますが、実はここに何を刻むかということに決まりはありません。
最も一般的な和風の縦型の墓石では、墓石の正面に『○○家ノ墓』や『○○家先祖代々ノ墓』あるいは、『南無阿弥陀沸』『南妙法蓮華経』と言った宗派によって決まった言葉が刻まれています。
現在でもそのスタイルが最も多いのですが、お墓の多様化とともに、刻まれる文字の種類も増えてきています。これは公園墓地の普及により洋型墓石が一般的となったことの影響が大きいと思われます。
正面文字には何を彫刻してもいい!?
故人の好きであった言葉、故人や家族の思いが表現された言葉や文字、この世で生きた記念となる言葉、詩や俳句、辞世の句などの文字を入れる方もいらっしゃいます。具体的には一文字の言葉では「愛」「和」「心」など、二文字の言葉では「永遠」「無限」などです。二字以上の言葉は「こころ」「ありがとう」など、句になった言葉「やすらかにここに眠る」「いつもいっしょだよ」などです。 また、文字だけではなく、イラスト(花や、故人にゆかりのあるイラスト、例えばゴルフクラブやお酒や楽器など)などが彫られることもあります。
その他の彫刻文字
墓石の側面や裏面には故人の戒名や法名、歿(ぼつ)年月日などの「埋葬者名」が刻まれますが、最近では墓石とは別に墓誌を建立し、そちらへ刻むことも多いようです。建立者名、建立年月日は一番上にある台石の左側か裏側に刻みます。
家紋は主にお墓の小物に彫ります。つまり、花立、供物台、線香立てなどです。
近年は紋付の着物等をつくることも少ないので、お墓が唯一の家紋を伝える手段となっている家も多いようです。
逆に言うと、お墓を建てる際に家紋が良く分からないという事が起こり得ます。デジカメなどで記録しておくと良いでしょう。
お墓の彫刻文字の書体
墓石に刻む文字の書体ですが、これも決まりはなく自由ですが、一般的に多く用いられるのは「隷書体(れいしょたい)・楷書体・行書体」の3種類です。たいてい石材店に書体の見本がありますので、参考にして選ぶようにしましょう。
隷書体 中国の漢時代にできた書体。波打つような運筆、左右のうねりで横長なのが特徴。 |
楷書体 隷書体から変化した、明確な運筆の書体。整然とし、読みやすく、厳格な雰囲気を持つのが特徴。 |
行書体 楷書体を早書きした書体。曲線的で自然、なめらかで力強い印象を持つ。 |
現在は文字を彫るための加工技術が進み、自身が書いた文字や、書道家に書いてもらった文字を墓石に彫ることも可能です。
注意する点としては、墓石に彫る文字は一度彫ってしまうと簡単には直せませんので慎重に決めるということです。
先祖代々が納められるお墓であれば自分だけでなく、子孫から見ても違和感のない文字を刻む必要があります。
個人墓や夫婦墓であっても寺院境内の墓地では正面文字として刻む文字が決まっている場合もありますので確認しておきましょう。